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車の運転で左足ブレーキを進める理由

【1本遊んでる!】

 

この章の最後は私の個人的な話で結びたいと思います。もうずいぶん昔のことですが、私は母国ベルギーにある、Flで有名なスパ_フランコルシャン・サーキットで行われる2時間耐久レースに出ないかという誘いを受けました。

 

そのレースは、ふつうの道を走っているのとまったく変わらない、完全な意味での“ストックカー(生産車)”で争われました。私が運転したのはアメリカのGM(ゼネラルモーターズ)が用意してくれた4台のうちの1台で、オールズモビル88という大型車でした。

 

アメリカ車では当たり前ですが、そのクルマにはこれまた生産型そのままの“ハイドラマティック”と呼ばれるオートマチックが付いており、当時、ヨーロッパのレースでは珍しい存在でした。当然、ベダルは2つしか付いていません。

 

ここで、私にある考えがひらめきました。私は自分が生まれ落ちてからすぐに、幸いにも足が2本あることに気づいていたのです。だとすれば`、レースが行われる2時間というもの、右足だけがただひたすらアクセル、ブレーキと忙しく仕事をこなしているのに対して、どうして左足を遊ばせたままにしておく必要があるのか、もしかしたらこれは不公平きわまりないのではないか?と。

 

そう考えたとき、私は左足にも仕事を与える代わりに右足をベダルからベダルヘと動かさないぶん、1秒の何分の1かを稼ぐことができるかもしれないというアイデアが突如として湧き起こったのです。ご承知のとおり、レースでのコンマイ可秒かは非常に重要なのです。

 

 

 

 

 

メリットは反応の早さ

 

正確に言えば、そのアイデァがひらめいたのはレース前に“1貫らし運転をしているときでした。すでに述べたとおり、そのクルマは完全な“ストック”の状態(出荷時のまま)でしたから、改造ができないよぅに、主催者の手によって封印されたままアメリカの工場から直送されてきたのです。

 

要するに、まったくの新車だったわけです。したがって、レース本番の前に5000kmほど一般公道を走って、慣らしをする必要がありました。ちょうどそのとき、イタリアでは当時まだ“本物の”公道レースだったミッレミリアが行われていて、それを観に行くのに好都合でした。

 

そのときです、長い旅の道すがら、そうだ、今度のレースで“左足ブレーキ”をやってみようと思ったのは。レースが始まると私はさっそく新しい“テクニック”を駆使し、そしてみごと優勝しました!ただし、そのことだけが真の勝因だったかどうかはよくわかりません。

 

いずれにせよ、私はそれ以来ずっと、今日に至るまで、オートマチック車を運転するときは必ず左足でブレーキを踏むようにしてきました。そして重要なことは、ベダルが 3個のマニュアル車から2個のオートマチック車に乗り替えたときでも、またその反対のときでも、これまでいっさい問題が生じなかったことです。

 

それから数年経ったときのことでした。私がある自動車クラブに行ってみると、そこに“ドライビングシミュレーター”があるのを発見しました。その機械を使えば、ブレーキを右足で踏まないと、つまり左足ブレーキを使うと、そうでないときと比べて反応時間がどのくらい違うかがわかるのです。

 

結果は0.2秒ほどでした。もちろん、前者のほうが早かったのです。な一んだ、大したことないじゃなぃかと言うかもしれません。けれども、考えてもみてください。あなたが街の中で運転しているとき、もし目の前を突然ほかのクルマが横切ったり、前のクルマが急停車したとしたら、たとえ50km/hのスピードだつたとしても、0.2秒踏むのが早ければ停止距離にして実に28mもの違いを生むのです。もしかしたらそれは大事故になるか、それとも単にビックリするだけですむかの、歴然たる差と言うべきです!

 

それだけではなく、街の中をふつうに走っているときでもふたつのベダルを同時に使い、アクセルをゆるめながらブレーキングを開始したり、またその逆をやったりしてみると、クルマの動きが見違えるほどスムーズになることもわかりました。ただし、ごく最近のクルマの一部にはふたつのベダルを同時に踏むと動きがギクシャクする例もあるのはたしかですから、自分のクルマがそうなのかどうかを一度確認してからのほうがよぃでしょう。

 

 

 

いまがチャンス!

 

そんなわけで、私はいま、とても痛快に思っていることがあります。なにしろ、フェラーリがFlの世界で史上初めてクラッチとギアボックスをロボット化して以来、他のチームも一斉にそれに倣って、いまではFlドライバーの全員が“2つのベダルに2 本の足を式の運転テクニックを愛用するに到ったからです。

 

実は、自動車学校の多くがぃまもオートマチック草で左足ブレーキを使うことに冷淡なのは事実ですし、 ドライバーの中でも特に 「スリーベダル」のマニュアル車に長いあいだ馴れてきた人たちほど、混乱をおそれてか、あえて試そうとはしません。たしかに、あなたがこれまでずっとマニュアルのクルマばかりに乗ってきたなら、すぐに反射神経を変えろと言っても無理な話ですし、正直言って、左足でブレーキを適切にコントロールするのにも多少の訓練が必要なのは事実です。

 

けれども、これから本格的な運転を始めようというあなただけは別です。まして、最初のクルマがオートマチックなら、この、きわめて理にかなった運転テクニックを使わない手はないと思うのですが、いかがでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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